2017年12月7日木曜日

呼吸困難で来院の患者さん

 20歳の女性が呼吸困難で来院されました。呼吸数が34回/分以外にバイタルサインの異常は認められません。ルームエアーにてSpO2は100%でした。血液ガスデータを示します。

pH 7.607
PCO2 14.6
PO2 167.4
HCO3 14.2

PaO2は100を越えていて酸素の問題はありません。
酸素化能障害を調べるとA-aDO2=−36となります。誤差なのか、本当は酸素を吸っていたのか?色々考えてしまいますが、酸素化能障害はないのでしょう。
pHは7.4以上でアルカローシスが主体です。
PCO2が低いため、呼吸性アルカローシスです。呼吸数が34/分というのとあいますね。
PCO2が1低下するとpHが0.008上昇するため、PCO2は正常値の40から25.4低下していると考えると、pHは7.60程度のはずで、採血データとちょうどあっています。

 よって酸素化能障害を伴わない呼吸性アルカローシスと言う事で過換気症候群と考えて良いでしょう。採血でもD-Ddimerは陰性で、肺塞栓はほぼ除外できると判断しました。
 患者さんは病院に来てから落ち着いたようで、無事帰宅されました。

 過換気症候群は怖い病態が潜んでいることがあるので、注意が必要ですが、今回は何もなくて良かったです。

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