2017年12月14日木曜日

透析患者さん

 失神で来院された85歳の透析患者さんのデータです。

pH 7.287
PCO2 35.6 mmHg
PO2 95.1 mmHg
HCO3 16.6 mmol/L
BE −9.1 mmol/L
AnGAP 20.2 mmol/L
乳酸 0.78 mmol/L

必ず酸素から評価します。
PaO2は95.1 mmHgと良い値です。酸素化能障害はありません(A-aDO2=10 mmHg)。

pHは7.4より低くアシドーシス、アシデミアです。
PaCO2は正常範囲内です。よって主たる異常は代謝性アシドーシスです。
HCO3は正常値の24 mmol/Lよりも7.4 mmol/L低下しています。アニオンギャップも正常値の12 mmol/Lよりも8.2 mmol/L上昇していますので、アニオンギャップが上昇するタイプの代謝性アシドーシスです。透析患者さんですので当たり前ですね。
補正HCO3を求めると、測定されたHCO3+アニオンギャップの上昇値=16.6+8.2=24.8 mmol/Lとなり、正常値です。
呼吸による代償性変化は色々ありますが、PaCO2=HCO3+16と言うのを採用すると32.6 mmHgとなりほぼ正常と考えて良いでしょう。

よって、この患者さんは代謝性アシドーシス(アニオンギャップ上昇)のみという事になります。強いていえば、軽度の呼吸性アシドーシスが合併していると言っても良いかも知れません。

アニオンギャップ上昇のアシドーシスを見つけたら、以下の4つを考えます。
乳酸アシドーシス
ケトアシドーシス
腎不全
中毒

この方は透析患者さんなので(透析直前の値です)当然の結果ですね。

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